残業手当の行方(3)

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先日も書きましたが、自律的労働と称し、使用者の残業手当の支払義務を緩和する制度(日本版ホワイトカラーエクゼンプション)の実施は相当遅れそうな気配です。政府の諮問期間である労働政策審議会労働条件分科会が「労使双方」からの断固反対という、あのような形で物別れ状態になった以上、政府としても慎重に対応せざるを得ないでしょう。 
この審議会では「民事事項」である労働契約のルールの成文化という内容と、残業時間規制という使用者に対する規制事項(刑事的事項)を同時に議論し、コンセンサスを得ようとしているところに問題があると思われます。

そもそも、「報酬を、「Working hours」でなく、「成果」をベースとして決める」というスキーマはある種の労働者にとっては理想的な考えではあるのですが、確かに真の「自律的労働」ができる労働者は、現状ではなかなか少ないでしょうし、長時間労働を正当化するために「悪用」されてしまう危険性も残っています。

やはり、求められているのは、「真の自律的労働の実現」とそのための「生産性の向上」で、使用者側、労働者側双方が「真の自律的労働」を可能にするにはどうしたら良いかを真剣に考える必要があります。 

戦後ずっと大きな見直しのされていない労働法制を一気に変えていくのは大変なことだと思いますが、われわれ国民もこのことに関心を持ち続け、議論に参加していくことが望まれるでしょう。

筆者のサイト:http://www.Tetsuro Kurata.com/



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3 thoughts on “残業手当の行方(3)

  1. Eri 返信する

    自律的労働者
    たしかに、日本の現状では、残念ながら「自律的労働」をできる労働者がどれだけいることか…

    もう少し個々の企業の労働環境の整備や行政の施策が進まないことには、「労働契約法」という法律だけ作ってみても、労働者イジメだけにしかならないのではないでしょうか。

    経団連案の、「年収400万円以上の労働者には時間外賃金は、必要ない。」とういのも到底納得できません。
    「自律的労働者」とは全く私の私見ですが、おそらく少なくとも600万円とか700万円以上のラインではないかと思いますが、Tetsuさんはどう思われますか?

  2. Tetsu 返信する

    自律的労働者の定義
    Eriさん、
    コメントありがとうございます。
    確かに年収400万円では少ない気がしますね。年齢にもよりますが、かなり高年収の方でないと、そういう「意識」は持てないのではと思います。 雇われていても報酬に関係なく本当に仕事を楽しんでいる人もいることはいるのでしょうが、ごく少数でしょう。 政府も単純にホワイトカラーというGenericな言い方でなく、「自律的」という「言葉」で、規制をかけているつもりなのかもしれません。

  3. OH!NO 返信する

    自律的労働者
    経団連は年収400万円ですか。確かに少ない方ではないか、という気がします。
    ただ、
    ①私たちが都会に住んでいると少なく感じる部分があり、地方も含めた全国平均ではもう少し「それなりの額」に感じられるのかもしれない。
    ②政府管掌健康保険の平均標準報酬月額は現在28万円。(数年前は確か30万円だったと思う)
    そこから類推すれば、年収400万円もまんざらな額ではないのかもしれない。

    いずれにせよ、一定以上の高額所得者について超過勤務手当を義務から外すという制度の基本部分は、合意を得やすいとは感じます。

    そうだとしても、基準金額を決める際も具体的な額を条文政令明記するよりは、物価や賃金動向で自動スライドする形を取るべきですね。

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